他に行くとこなんて、無いですよ(笑)
私が瀬田という所に住んでいた頃、近くに駐車場を借りていました。
その駐車場の大家さん、その駐車場のすぐ横に住まわれて居ました。
駐車場借り賃を、毎月大家さんに支払いに行っていました。振込でも良かったのですが妙に、その大家さんに逢いたかったのかと思い出して居ます。
その頃私は30代後半だったでしょうか、大家さんは85歳は過ぎていらしたでしょう。その大家さん、おばあちゃまで、可愛い人でした。
こういう言い方は不謹慎ですね、でも、お年を召して居る程に、可愛い人っていらっしゃいますね。背丈は145センチに満たないおばあちゃま、その立ちふるまいも優雅な方でした。
ある日いつものように支払いに行くと、まさにおばあちゃまは出かける所でした。
私 何処へ行くのですか?
おばあちゃま まあ、この歳になって行く所は一つですよ!!
私 え!!、それは何処ですか?
おばあちゃま 病院ですよ、他に行くとこなんて有りませんよ(笑)
私 あ!!、いってらっしゃい・・・と
私はいつも、この支払の時におばあちゃまと雑談をするのが、楽しみでした。でも、だんだんとそうも行かなく成ったのでした。
それから間もなくおばあちゃまは、天国の人と成りました。
このことを、良く思い出します。何故なら今は、このおばあちゃまの気持ちが少しは分かったかなと思うからです。
おばあちゃまは既に、引き算の人生に入っていたのでしょう。その頃は、足し算の人生しか知らない私に、それが分かるはずも有りません。
でも、明るかったなあおばあちゃま、タンポポのようなという言葉が相応しいなと、思い出して居ます。こんな人間に成りたい!!とも、私は思って居ました。
踏まれても 咲くタンポポの 笑顔かな
実際、踏まれたタンポポが、笑顔だったかのかは誰にも分かりません。でもおばあちゃまは笑顔でした、少なくとも私には笑顔のタンポポでした。
失礼しました。
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