何事も自分で決める
あるフランス青年が、悩みに悩んであのサルトルのところへ相談に行った。
サルトル先生、昨日私に徴兵状が来ました、どうやら最前線に行かねばならないかも知れません。私は母と二人暮らしで、二人の兄は戦争へ行ってもう帰っては来ません。
ここで私が死ぬと母はたった一人となってしまいます、先生どうしたら良いでしょうか?
そうするとサルトルは言いました、
自分で決めなさい、と。
先生!!、母は一人となってしまうかも知れないんです、どうしたら良いのか、自分で決めるって、僕には出来ません。
サルトルの答えは同じでした。
さて、プライベートライアンという戦争映画が有りました、お若い人は知らないかも知れません。私もうる覚えなので、間違っているところはご勘弁ください。
ライアンという青年が戦争に行った、ライアンは9人兄弟の末っ子で、もしライアンが死ぬとライアンの母親は、たった一人になってしまう、他の兄弟達はもう戦争で死んでしまったからです。
ライアンを探せ、そしてライアンが敵の捕虜になっていることが分かるのです。
ライアンを助け出せ!と、指示がアメリカ軍の最前線に流された、そしてライアンを助ける精鋭部隊も組織されるのです。結果、ライアンは助けられるのですが、たった一人のライアンを助けるのに、精鋭部隊のメンバーは死んでしまうのです。
☆助け出されたライアン青年
映画の冒頭画面は、年老いたライアンが、沢山の孫を連れて、戦没者のお墓に参る場面が映し出されます。そして何も知らない孫たちをバックにライアンがお墓に話しかけるのです。
これで良かったのですか?と
話しかけたのは、自分一人を助ける為に死んで行った精鋭部隊員のお墓でした。精鋭部隊員達は死に際に、ライアンが助けられたことを知って、良かったと笑顔で死んで行ったのでした。
ライアンは、こんな犠牲の上に自分が生きている、その責任の大きさに何度もつぶされそうになったのです、そしてまだ生きている自分を見つめながら、やっとお墓に言葉を投げかけることが出来たのでした。
でも、誰からも返事は有りません。
あのサルトルの言う通り、これで良かったのかと問うことすら意味がないのですね。
でもライアンはやっとお墓に参ることが出来た、そして問うことも出来た、それがライアンに人生の答えを導いてくれることでしょう。
サルトル先生、人生には自分で決めた訳ではないことばかりが降ってきます、それは何故ですか?、ライアンは助けられた、多くの仲間を犠牲にして、これも自分で決めたことでは有りませんよね。
人生は自分だけが生きている訳ではない、多くの人達の想い(悲しみ・苦しみ・喜び)の中で生きている、それが私達の人生です。
失礼しました。
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