水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

たまにはジャズ 

私の家の近くに、コンサートホールが有ります。毎日何気なく、プログラムは見て居ました。


ある日友人からメールが入り、そのコンサートホールでジャズの演奏会があるから行きませんかと、誘われました。


ジャズかあ、ジャズってなんだ、ポップスじゃないよな、まして演歌でもないし、なんて何も知らない私でしたが、その「ジャズ」という響きには誘われました。


★近くのコンサートホールです。



さて、そのジャズの当日、友人は開演3時間前から並んでくれて居ました、全て自由席でつまり早い者勝ちなのです。そういう機敏さと、他人を気遣う彼の人間性を感じながら私は、会場に赴きました。


前田憲男さん、追悼ライブ


私はこの憲男さんのことを、わずかに覚えて居ました。あの、天才と言われたピアノマン同じピアノを弾いても、全く違う音楽が流れる不思議な天才と、騒がれた人ですね。


でも、追悼ですから既に前田憲男さんは居ません、憲男さんと共に、ジャズの世界を生きて来た仲間たちが催す会でした。



何と平均年齢は、80から85歳くらいでしたでしょうか、その中でも、最も高齢のピアノの先輩は、実に90歳でした。


彼は舞台の右そでから現れました、紹介を受けて、挨拶したまでは良かったのですが、左側にあるピアノまでの距離は結構遠く、よたよたと、躓きながら、やっとピアノの袖にたどり着きました。


それだけで会場からは拍手でしたね、私も拍手しましたよ。歩くって、歳と共に大変な作業なんです。自分で大腿骨骨折をして、歩くって凄いことなんだと自覚したばかりの私です、わかるんですその大変さは。


そして椅子を引いて貰い先輩は、おもむろに曲を奏で始めました。


その音色に会場がうっとりして居るのを私は感じて居ました、同じピアノをさっきまで少し若い演奏家が弾いていたのですが、私にも分かるくらい違うのです。


よたよたと歩き、やっとたどり着いたピアノ、でも、これを水を得た魚というのでしょう、何という軽やかな響き、何という枯れた音、他人と同じ指が、同じように鍵盤に落ちるのに、何故違うのかなどと思いながら私は、そのピアノの世界にのめり込んでいたのです。


ジャズ、ジャズって、別にこれがジャズっていうのではないのですね。音楽が好きな者同士が、音を奏でる、それを楽しむこと、それがジャズなんですね。


束の間私はそう理解しました、多分違っていると思いますが・・・・、


でもなあ、凄いなあ、90歳で奏でるあの響き、それを披露する人生は、多分、途中困難最後必勝なんだろう!!と、想いを馳せました。


人生、死ぬ前の三日間だけ幸せだったら良いのですと、誰かが語って居ました。