水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

嘘は常備薬、真実は劇薬 4

私が働いていた食堂の厨房、それをコの字に囲むように、大きなホールが有りました。一度に1000人くらいが食べられる広さでした。坪数にして800坪くらいですか、ええ、広かったです。


その床は、黒いPタイルが貼って有りました、このタイルが磨かれていると実に美しいのでしょうが、その景色を私は見たことが有りませんでした。


というより私は当初、その床が黒いPタイルであることを知りませんでした。そこは乾いた泥で薄汚れていて、何とも食欲の出そうもない給食ホールだったのでした。


泥の原因は、その食堂の周りの環境に有りました、土と芝生で囲まれて、実に良い環境だったのです。早朝、学校の生徒達が運動場での朝礼を終えて、その土の上を走って来ますそしてその運動靴のままホールに入って来るのです。

おはようございます!!、わっしょいわっしょいと入って来ると、見る間に床は真っ白になって来ます。私は、うわ~これかと、これが原因かと腕を組んで居ました。どうしようもないのです、少し掃除した所で何とも成らないのでした。


ただでさえ、厨房の料理担当は忙しい、その上にこのホールを掃除しろだって!!と先輩達は怒っていました。一方私は部外者を気取って居ました、これは問題だなと、そして私には関係ないと。


嘘は常備薬、私の心の中は、これは大変だなと先輩と歩調を合わせながらも本当は大変だ何て少しも思って居なかったのでした。


そしてその先輩たちも似たようなものでした、誰も本気でこのホールを綺麗にしようなんて思って居なかった、誰も本気でこれは自分の問題だなんて思って居ないのでした、その上司が赴任し、あることを始めるまでは。


新しい上司がそのホールに立ちました、そして独り言を言い始めました。


建物は立派だが心は汚れていると、当たり前のことに価値を感じない、凡事徹底出来て居ない、しかし、そんな所に私は赴任をして来たのだから、これは私が反省をせねば成らない・・・と。


私は思いました、全く変なことを言う変な上司だと、でもしかし、妙な違和感と、妙な高揚感を持ったのでした。


続く・・・。