水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

嘘は常備薬、真実は劇薬 5

私が反省しなくては成らない・・・、私は確かに聞いた、この言葉を、何だろうこの奥底から上がって来る身ぶるいは、でも何で反省なのか少しも分からない、外から赴任して来た先輩が、このだだっ広いホールを見て何を反省するのか、やはり分からないのでした。


翌日、厨房の朝は早い、私は炊飯でしたので誰よりも早いのです。朝は結構好きでした、そしていつものように鍵を空けようとすると、何!!、開いて居るのです、さては昨夜の最後のメンバーが忘れたかと思いきや、厨房に入って行くと何やらホール方が明るいのです。


そこには、その反省上司がほうきを持って掃除をしていたのです、私は本当に驚きましたそして何で!!と思ったのです。


上司ですから挨拶をしに行きました、そうすると上司はこちらを振り向き、やあ「○○君、早いなあ、お早う!!」と、もう私の名前を覚えてくれたのかと妙に感心したり、でもまだ朝の5時だぜ、いったい何時に来てたんだよと、その後ろ姿に話しかけていた私でした。


まだ春には間が有りました、朝の5時はまだ真っ暗です、上司は黙々とほうきを動かして居ました。一時間くらい経ったでしょうか、上司は掃除を終わらせたようです、自宅に一度戻られるのでしょう、朝日が当り始めたホールの大きな窓から、その後ろ姿がくっきりと見えました。学校職員は、広い敷地の住宅で暮らして居ました。


ふーん、一人で掃除したって少しも綺麗になって居ないよ、当たり前だよね、800坪だもんと、続々と出勤して来た厨房課員達、この話題で大変でした、せせら笑うやつ、どれくらい続くのか掛けようかと軽いやつと、皆一様に驚きながらも、上司を試すような又挑戦的な言葉も飛び交いました。


この平和を壊されてたまるものか、そんな気持ちも有ったのでしょう、いい加減に過ごしていれば日々が過ぎていくという人生、みんなそれが当たり前だったのです。


しかし期待は外れました、それから約半年、掃除は続きました。


私は呆れました、ちっとも綺麗には成らないホール、でも続く掃除、私の心の中に僅かに動くものが有りました。仕方がないな~と、いつの間にか私は、5時起きを4時起きに変えて居ました。