水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

たゆたえども沈まず 2

以下は訃報の話です、お好みでない方はスルーをお願いします。



キャンサーペアレンツの若い代表が、旅立ちました。


彼は、私が所属する腺友会(癌の会)で、体験談を語って
くれた人でした。


35歳で胆管癌ステージ4の診断を受け、何を言われて
いるのかも分からなかったと、手術はしたのですが、
お腹を開けられて、転移が有り、そのまま閉じられた
のでした。


どうしたら良いのか、誰に聞いたら良いのか(医者に聞く
のではなく、同じような病の人の意見を知りたいと)、
キャンサーペアレンツという場を、ネット上に上げたの
でした。


だんだんと同じような状況の人達が集まり始めました。


みんな、同じような気持ちで、孤独と恐ろしさの真ん中
で震えているのでした。


でも、その中でも、どうしたら良いのかと一番迷って
いることが有りました。それは子供への伝え方です、
どんな言葉で伝えたら良いのか分からないという、
解答のない難題でした。


いくら話し合っても解答はない、しかしこれは
余りにも子供を馬鹿にしたことではないのかと
ある日彼は気づいたのです。


そして、正直に全部伝えよう、それしかないと
思い、自分の病を6歳の娘に伝えたのでした。


キョトンとした目に、にじみ出る涙、どうしようも無くなり
ただ抱きしめるだけでした、でも、伝わった、娘の小さな
胸は受け止めたのでした。


それから妻と娘は、自分の知らない所で何度も泣き、
でも、お父さんの為に何が出来るかと話し合ったんだと
思います、と。


40歳を迎えようとする前に彼は、帰らぬ人と成りました。



以下は彼の言葉です。


やりたいと思えたことに出会えたこと、
人とのつながりの大切さに気づけたこと。
それらはあたりまえのことかもしれないが、

ぼくにとっては雲が晴れたような感覚で、
仕事が楽しいと心底思えて、素敵な未来に向かっている感覚がある。


いつ来るかわからない「死」のそのときまで、生き抜けるために。


そして、ぼくの「死」の先にも、残したモノが残り続けるように、
ぼくは死ぬまでチャレンジを続けていく。


そう、死ぬまで。



たゆたえども沈まず・・・・、
ステージ4の下、絶対に生きてやると、しかし彼の肉体は
残念ながら力尽きました、でも彼の精神は決して
沈まなかった、そう強く感じました。


合掌