シャボン玉の歌 水彩画
シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた
ねえ、お父さん、何で絵を描いてるの?
耳元に突然聞こえてきたバリトンは息子だった
(息子が私をお父さんって呼ぶ、これって本当に最近、これ本当に嬉しいのです)
何でって?、筆に決まってるだろうがと
ちょっと意地悪だった私
筆?、当たり前じゃん、そうじゃなくて、気持ちの方だよ
そうだよな、分かってるさ
描きたいからさ、ただそれだけだよ、それだけ
それだけさ・・・・・、
私の心は光の船に乗ったように
時を遡っていた、何十年も
ねえねえパパ、パパさあって
袖をぐいぐい引く息子がそこにいた
(4歳くらいの息子、パパパパって懐かしい、でもうるさかった)
ねえねえ、
始まったな、ねえねえがと、
このねえねえ始まると長いんだ、長い長い
何だい?、ヒロキ
う~ん
パパ、シャボン玉の歌知ってる?
知ってるよ、それがどうしたんだ
あのさあ、シャボン玉飛んだ 屋根まで飛んだ~、
息子が舌ったらずで歌い始めた
そして歌うのをふっと止めた、
何でさあ、何で「屋根まで飛ぶの?」って
シャボン玉が屋根まで飛んだんだろう、それがどうした
そうじゃなくて!!!、何で屋根が飛ぶんだよ~
う~ん、何だこれはと思いながら私はちょっと考えたのです。
屋根が飛ぶ~?、
はっと思った私、そして急に笑い出した笑った笑った~
おお息子よ、よく気づいたなって、
その息子の真剣な顔を無視
しながらまた笑い転げた私でした。
そして息子のぶっちょう面を見ながら、ちょっと反省しながら
向かい合った私でした。
屋根は飛ばないよ、飛んだのはシャボン玉だよ、でもなあ
お前の発想は悪くないよ、全然悪くないよ
悪くないんだよ・・・、ちょっと難しかっただけだよ
私が笑い出した時、涙を溢れさせていた息子、それにも気づいて
居なかった私でした。
何で、ちゃんと説明をしてあげられなかったんだろう
何で、何でと、矢継ぎ早の疑問に真っ直ぐに向かい合えなかったんだろう
って
それ以来か、息子は私に何も言わなくなった、パパパパって
まとわりつかなくなった
☆今の息子です、ちょっと似ているかも、ですね(*^_^*)
お父さん、何で絵を描いているの
40歳過ぎた息子は多分、おそるおそるの質問だっただろう
息子が私をお父さんって呼んでいる、いつからだろう、そしてほんの
何日か前に、入ったライン
あけおめ
私の涙腺はドバっと緩んだ、こんな嬉しい言葉があるんだと
描きたいからさ、それだけだよ
そうさ、お前の素朴な疑問を受け取れなかった俺を、笑い飛ばした私を
息子の言葉がやさしく覆ったのでした
あの歌二番が有ったよな
何?
シャボン玉の歌さ、覚えているか?
知らないよ
シャボン玉消えた
飛ばずに消えた
生れて直ぐに
こわれて消えた
風風吹くな
シャボン玉飛ばそう
もう息子は後ろを向いていた
ちょっとまぶしかった
私でした
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。