水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

お隣のおじいちゃま物語

大部屋に入院して来るようなおじいちゃまでは有りません(私の主観)、入院して私の隣に来た時に、そのご家族の大層さにも驚きました。


娘さんでしょうか、何とも煌びやかな感じで、とても病院に見舞いに来たような感じでは有りません。そしてお母様でしょうか、その香りの凄いこと、これだけでも大迷惑でした。


そしてそのおしゃべりの声の大きいこと、大部屋であることなんかすっかり忘れているようです、いやもともと周りなどには気づかいは出来ないのでしょう。


その傍若無人ぶりに、ナースの長(師長)が、ここは大部屋ですので、大事な話は談話室でと誘いました。


その誘いと同時に、お母様と思われる人が言いました、さあ帰りましょ!!と、その誘いにド派手な娘さんもすぐに賛同し、たちまちお隣は静かに成りました。



さて、残されたのはおじいちゃまです、それからはまた別の意味で、大変なお隣となったのでした。


何も教わっては居ないのでしょう、おじいちゃまは、何かと言うと「大きな声」で看護師を呼びます。


お~いお茶!!、では有りませんが、お~い、お~いと呼ぶのです。何か大事な用事があるのでしょう、でも、大きな声くらいでは、ナースステーションには届きません。


その度に隣の私は密かに、ナースコールボタンを押しました。


はい、何でしょう!!とナースの声、私はすかさず隣のおじいちゃまが用事があるようですよと、伝えます。


タッタッタと看護師の音、そしておじいちゃまのカーテンを開けます、どうしたの!!と聞きます。そうするとおじいちゃまは、寒いんだよ!!、寒くってたまらないんだと伝えるのです。


看護師は、その姿を観ながら、何にも掛けていないじゃないの!!、と、言いながらおじいちゃまに布団を掛けようとしました。そうすると、これでは暑いんだと、拒否しました。


勝手にしろとばかりに、看護師が去り、するとすぐに「お~い、お~い」と呼び始めます、ナースコールの方法を教えて貰っているのですが、それを使うことをしません。


また、私がナースコールを押します。そうやって、やや、一晩中、おじいちゃまは叫び続けて居ました。



三日目の夕方でした、ナースが私の所に来て、おじいちゃま部屋を変えますのでと、頭を下げて居ました。


どこへ行ったんだろうと、私はナースの待機するセンターを覗きましたら、何とおじいちゃま、ナースセンターの真ん中に居ました。真ん中にベッドを移動されて、そこにポツンと横になって居ました。


そしておじいちゃま、何でこんな所に居るんだ俺は、おしっこがしたいんだ俺はと、叫び続けても、何に食わぬ顔のナース達、まあ仕方がないかと私は、やっと歩けるようになった我が太ももをさすりながら、これで熟睡が出来るかなと、おじいちゃまにエールを送りました。


でも、あれっきり、あのド派手な娘さんと、香水のお母様は来ないなと、ちょっと不思議に思いました。


人は色々です、でも誰もが、自分は一番まともだなんて思っているんだろうな、おじいちゃまも、そのご家族も(笑)


失礼しました。