多分、小さな会社の経営者
ナースセンターに引っ越したおじいちゃまの後すぐに、私と同世代と思われる御仁が入院されて来ました。
付き添いは多分息子さん、御仁は、点滴と酸素をあてがわれ、瀕死の状態でした。しかしそんな中でも、大きな声で、息子さんに訴えて居ました。
おい、今日俺は入院なんかしていられないんだ、手形が落ちないんだよ手形が、すぐに銀行にお金を入れて置かないと駄目なんだよ!!と、必死です。
おいと呼ばれた息子さん、親父、今は何も考えずに身体を休めてくれよ、お金のことは俺がやるから
お前じゃ駄目なんだよ、俺じゃ無けりゃと、点滴を外そうと必死の様子で、息子さんは直ぐに、ナースコールを押して居ました。
ナースが駆けつけ、何をしているんですか、今は大変な状態なんですよ!!、分かって居ますか?
俺は何で入院して居るんだ!!
親父は会社で倒れたんだよ、もう駄目かと思ったくらいだった。救急車で運ばれて来たんだよ、覚えて居ないかもしれないが・・・・、
何でもいい、俺がどうなろうと、今日はお金を入れなくちゃ駄目なんだ、お前たちに迷惑を掛けてしまうんだよ!!と、必死で起きようとしているらしい。
その夜中、突然大きな音がして、隣の御仁が私のベッドの脇に転がって来たのです。点滴を外そうとして、酸素マスクをしたまま、それこそ管だらけで転がって来たのです。これには驚きました。
大丈夫ですか?と私
う~ん、俺はどうしたんだろうと御仁
直ぐにナースコールをしました、飛んで来たナースが、あらら、どうしちゃったのと、もう一人ナースを呼んで来ました。
その最中にも御仁は、お金を入れなくちゃ、お金を入れなくちゃと、うわ言を繰り返して居ました、お金は多分息子さんが対応したと思います。
何故、小さな会社のと思ったのか、それはそのうわ言の額でした。しかしそれが少額であったにしても、私にはその苦しさが分かりました。つい数カ月前まで私は御仁と同じ悩みの坩堝の中にいたからです。
御仁は翌日、部屋を変わられました。その後どうしたかなあ、金の無いのは命がないのと同じ、それくらい苦しむのです。
失礼しました。
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