たゆたえども沈まず
フランス在住のアート作家、原田マハ氏の引用文です。
動乱のパリ、ドイツに攻められたパリ、何度ものセーヌ河の洪水
にも、決して沈まなかったパリという街をフランス人の心意気
の現れとして、パリに伝わって来た言葉です。
★フランス語では
Fluctuat nec mergitur だそうです(分かりません、本の表紙にも)
何が有っても、起きても、決して沈むことはないと
今度のコロナでも、この言葉はパリ市民に力を与えた
だろうと。
さて一方で、原田マハさんはこの言葉を
一つのアート小説の題名として引用しています。
それがゴッホと弟テオの物語です。そしてこれは実在の人物で、
林忠正というパリに憧れた、日本人画商との物語でも有ります。
★知人の感想です。
異常なまでパリに憧れた日本人2人と、異常なまでに日本に
憧れたオランダ人兄弟(フィンセントとテオ)。林忠正とい
うすごい日本人がいたことを、この本を読まなければ知り得
なかったかもしれません。
流暢なフランス語を話し、日本美術を広めた。しかし
「浮世絵を国外に流出した国賊」とまで言われることもあったとか。
印象派の作品をを日本に初めてもたらしたのも林忠正でした。
加納重吉は架空の人物ですが、この人がとてもとても良い人間。
「日本人は皆、君のようにやさしいのか?」とテオに言われます。
重吉とテオは友情を築きます。フィンセントに叱咤激励してくれ
る友達がいたら良かったのに…フィンセントには絵とテオしかな
かったのが辛い。途中から涙なしでは読めませんでした。
フィンセントとはあの「ゴッホ」のことです。精神的病の中で絵を描き続けた
ゴッホ、その絵の具代とキャンバス代、住まいの世話、あらゆるものを助けた
弟のテオ、何が有っても沈まない兄弟の物語は、涙なしには読めませんでした。
たゆたえども沈まず
この言葉を、改めてかみしめたいと思いました。
どうか、ステイホームの中で、ご一読をお勧めします。
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