生きているって
それは、温かい、ということだと。
パートさんのお父様が亡くなった、急なことでした、デイホーム
で急に熱が上がり始め、救急車で運ばれたと。
コロナの疑いがあると面会禁止、翌日連絡が入り
今朝、亡くなったと
コロナではなく、急性肺炎だった。
病院の霊安室、温かく元気だった父はそこに
安らかに眠っていた。
でももう温かくは無かった、彼女は私に言いました。
生きているって、温かいってことなのですね、と
涙が、冷たい床にポトリと落ちた。
コロナが親子を逢わせなかった、父は娘の手を
握りたかったに違いない、娘も同じだろう
父と娘、二人っきりの家族でした。
彼女は私に言いました、子孝行な父でしたと、
少しは面倒見させてくれても良かったのに、と
昨日まで、あんなに温かかったのにねと、
生きているって、温かいということなんだと
彼女はギュッと、拳を握りしめたのです。
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