水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

父とポマードとリンゴ

8月は父の命日の月、この月になるといつも思い出すことを書きます。



父は、私の覚えている限り、頭の毛がピカピカに光って
いた。


ポマードという整髪料のせいだと、よくその整髪料が
入っている瓶を開けて匂いを嗅いだ


それをべっとりつけて、父は外に営業に出て行った
遠目には良いのだろうが近づくとその香りが
堪らない


お客様はどうだったのだろうと、その昭和の営業マン
を思い出している



その父親の匂いは私のDNAまで入り込んでいるらしい
あの香りはその後嗅いだことは無いのだが


ある果物を見ると私の全身の皮膚が逆立つことがある


父は機嫌が良いと、私達兄弟にリンゴを剥いてくれた
さあ、食べなさいと!!


恐怖の始まりだった、でも私達はそれを断る勇気など
ひとかけらも持ち合わせては居なかった


そのリンゴ中に染み渡ったポマードの香り、でもそれを
断る術を兄もその上の兄も持ち合わせては居なかった


これは拷問だ!!、私は密かに思った


それ以来、リンゴが食べられない
ポマード付のリンゴなど何処にもないのに


食べられないのです。



あれから60年以上、今、ふと感じる懐かしさ、
父は子供達への愛をぎこちなく現したのだろうと


言葉よりもゲンコツばかりの父だった、それしか表現が
出来なかった父、


やっと見つけた愛の表現だったのだろう、だから、
ポマードのことなんか、思いもしなかったに
違いない、と


でも不味かったなあ、酷い味だった!!と、時折仏壇に向かい、


吠える時がある、私です(ー_ー)!!