逃げるな 倍返しを食らうぞ 6
あれから50年以上過ぎているのに、その上司の朝もや
に浮かぶようなその姿は、今でも私の脳裏に鮮明なのです。
私の人生の価値観を全く変える出来事が始まったのです。
有言実行という言葉が有りますが、それはそんな生易し
いものでは有りませんでした、言ったことを実行するの
は、誰でもとは言いませんが、出来る人は居ます。
でも、最も肝心なものが付いて行かない、それは何か、
心遣いです。
こんな言葉が有ります。
言うは易く 行うも易く 心遣い極めて難し
本当にそうしたいと心が願い、それを実行することは、
非常に困難なことなのですね。
私は幸運なのでしょう、その姿と共に仕事することが
出来たのですから。
前置きが長くてすみません、本題に入ります。
人の行為、その動機の大切さを教えた上司が、翌日から
見せた姿は、誰よりも早く職場に赴き、ホールを掃除を
する姿でした。
それもほうきと塵取りで、そしてたった一人で。
私と、厨房課員は、それを遠くから見て居ました、心の
中は・・・・、
いつまで続くかなあと、冷やかしの気持ちでした。
☆これは以前、ブログのお仲間の写真を借りて描いた絵です、この山並みが、あの頃の上司の背中のように感じます。
それから3ケ月過ぎました、相変わらず上司の掃除は
続いて居ました、誰を誘う訳でもなく、ただ黙々とその
行動は続いたのです。
ある日私は、その朝の行事に参加しました、何故参加し
たのか?ですか、分かりません、ただその姿が美しかっ
たからとでも、言って置きましょう。
私が参加しても上司は何も言いません、ただほんの少し
上司の背中が喜んでいるような気がしました。
でも、こんなことではホールは全く綺麗には成りません
でした。
これがまた三か月くらい続きました、私も同じ穴のムジナ
と思われたと思います、仲間からは。
ある日の夜、いつものように、高校生が夜食の為に、ご
飯をもらいに食堂に来ました(これは多分今は許されない
でしょう、食品衛生上で)。
彼が持って来た綺麗とは言えない洗面器にご飯を分けた後
でも、その高校生は帰りません。
何故か、何か言いたそうに「もじもじ」していたのです。
私は、どうした?
あの~と、その高校生から、意外な言葉が発せられたのです。
続く・・・・、
すみません、もう一回、次を最終回としたいと思います。
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