水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

言っておきたかったこと

あるおばあちゃまの話


息も切れ切れで横になっているおばあちゃまの周りに
子供達が集まっている


子供達と言っても、もうオジサンばかり


そのオジサンの中の長男と思われるオジサンが、おばあちゃま(母親)
に呼ばれた


そして耳打ちのようなスタイルで、おばあちゃまは長男にあることを
告げたのです。


長男は、隠し金庫の在り処でも教えてくれるのかと
思ったら、おばあちゃまは耳元でこう告げた
のです。


私ねえ、お父さんのこと、嫌いだったのよ って



え!!、嫌いだったって、なんでそれを今頃・・・と呑み込めないでいた。


あんなに仲良さそうだった父母、そして親父は何も知らずに先に逝った



これだけは、言っておきたかったのよと、すっとした顔でおばあちゃまは
亡くなった


これはこれで通り過ぎれば良い事なのかも知れない、でも耳元で直接聞かされた
長男さんは、これが喉元に刺さった骨のように残り続けた


父と母の間に川のようになって寝た日々、手を繋いで、左側には母、右側には
父と、二人の手が上に上がると、自分の身体が愛の力で舞い上がった


あれ、全部ウソだったのお母さん、何でそれを最後に言うの、お母さん
残酷だよって


何もかも信じられないような気持ちが続いた長男さんでした。



真実は劇薬、こんな言葉がある


本当のことは時に劇薬と化す


言っておきたかったのよと、おばあちゃま、どうしても伝えて置きたかった
のでしょう。



おばあちゃま、最後に言えて良かったですね、喉に骨が引っかかって
いたのは、おばあちゃまだったのです。


聞かされた方は敵わない!!、ですか


聞いてあげられて良かったって、それくらいに思った方が
良いのでは(笑)