職人さんの痛烈な一言
職人代表 社長、俺たちの給与を下げる前に、社長の報酬を減らしたらどうですか?
これは今から21年前の話です。
会社を立ち上げて、前の会社の職人さん達を雇い、でも何度も書いてきたように、宅配達はどんどん離れて行き、売り上げは3年で半減しました。
稼ぐ者達が居なくなり、残っている者達はアイロンを持ち品物が来るのを待っているだけ、私はこの現実を会社立上げの時に見極められなかったことを非常に後悔しました。
クリーニングの営業、その頃は御用聞きと呼ばれて居ました。週に二回か3回、決まったお客様を定期訪問します。そうやって訪問している内に親しくなり、独立するなどとお客様に伝えますと、貴方に出していたのになんて、お客様はその御用聞きについていってしまうのです。
まるで銀座のホステスが店を変わると、お客がついて行ってしまう姿と同じです。
この現実を、職人さん達は知らないのです。想像は付くでしょうが、それを自らの責任とする人は居ません。
私 〇〇さん、営業がどんどん居なくなっているんですよ
職人代表 それは俺たちは知らないよ、そんなこと全部社長が悪いんだろう!!
全部、この調子でした、そしてそれは間違ってはいないのです。
そんな意見を聞きながらも、背に腹は代えられないので、私は職人さん達の給与を半分にしたのでした。もちろん、この状況を伝えながら、です。
前の会社(兄が経営)の社長は、会社廃業の翌日に倒れました。それはまるで廃人のようで、長い間の責めの結果と私は感じて居ました。
そして、前の会社をたたむ仕事も、新しい会社を経営する仕事も全部、私の肩に重く圧し掛かって来ていたのでした。
そして、いくら伝えても信じてもらえないことを、その職人さんの代表に伝えました。
私 私の報酬を減らせ?ですか、それは出来ませんよ、何故なら私は報酬をいただいていないのですからと。何なら、決算書をお見せしましょうか、と。
そうするとこう言いました。
職人代表 決算書なんか、いくらでもごまかせるって聞いたぜ。冗談じゃない!!、あんたの兄さんが、お金を使いこみ潰したんだろ、前の会社を、俺は知ってるぜ、あんた達兄弟が使い込んだって。違うのかい、それを戻せば良いんだよ。
ここはかなり危険な状況と成りました、職人代表が決意を固めてこの場に及んだことは分かりました、でも無いものはないのです。
兄弟(前の会社の社長)のことについて、私は謝り続けました。でもそれはそれ、今はこの新しい会社のことですからと、彼の言葉を突っぱねました。
こうやって時間を掛けて来た、話し合いは分かれ別れとなり、12人居る職人さん達は、一人二人と辞めて行ったのです。
私が最低限出来ることは、彼らの退職を会社都合とすることでした。
今でもこの場面が、夢に出て来ます、結構な寝汗をかきガバっと起きるのです。もう忘れなければ、身体に良くないですよね、癌もこれが原因の一つかなあなんて思うことも有ります。
失礼しました。
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