水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

人間理解という修羅場

朝ドラのスカーレット(観ていない方には失礼)、
その主人公のモデルとなった女性陶芸家がこんな
ことを書いています(彼女は85歳、未だ現役です)。


人は最悪にして最低になった時に、自己を見つめなおす
ことが出来るものである、そして一生の仕事に出逢う
機会に恵まれるものである、と。



彼女が自分の焼き物を追求して行こうとした時に、
それは無謀だと夫が止めるのだが、でも自分は陶芸家
になるんだと強引に釜に火を入れるのです。


それは、普通4日間くらいの釜焼きが2週間焼くと
いうのです。それではお前は死んでしまうかも知れない
、俺は絶対反対だと伝えるのですが。


それでも釜に火を入れた妻を観て、夫は子供を連れて
家を出てしまうのです。これまで彼女は、釜焼きを7回
挑戦して失敗をして来たのです。


一回の釜焼きには30万くらいのお金が掛かり、もう
既に蓄えはなく、借金をして薪を仕入れるようなことに
なって居ました。


二週間焼いてもし、理想の色が出たとしてもそれが売れる
という保証もなく、でもそんなことは構わずに彼女は、
釉薬を使わない信楽焼を求め続けるのでした。



お互い理解したと思っていた夫婦が、少しも相手を理解
などしていなかったと気づくのです。修羅場を迎えて、
気づいたお互いへの無理解、その間には、物凄く沢山の
想いを吸い込んでしまう深い河が流れているようでした。


人間理解という修羅場です。


二人は、真に理解し合えたから別れたとも言えるでしょう。



私は思いました。


彼女は、彼女と彼女自身との間で、人間理解をしたのだと。


全てはその為の修羅場だったと。


1150度に熱した穴窯、12日過ぎた頃に釜の天井が抜ける
それでも構わず焼き続けて出来たのが、自然釉信楽焼だった。


本当の自分と出逢う旅、誰でもそれが、今生の人生課題なのだと思う。