運命とは あざなわれる組紐のよう
母が組紐をやり始めたのは、晩年だった、目の前で繰り広げられる
色彩の妙に私は虜にもなった。
この糸は何処から来て居るのかしらと母は一本の糸を、その細い
指でそっと転がした。
そうなんです、組紐の糸って、それがどこから来て居るのか
分からなくなるんですね、それが面白いし美しさの基
なのかも知れません。
こんなSF物語が有りました。
あるビジネスマンが、これから東京へ帰ろうと千歳空港から
搭乗する段取りを整えたと、空港に着いて何気なく
売店に寄り、新聞を購入したのです。
その新聞を広げて驚いたのです、日航機墜落って一面の
見出し、ええ!!墜落!!、何時だ、俺知らないよ~~
って、よく見たら、その新聞の日付は今日ではなく明日
だったと、何、これって俺がこれから乗ろうとしている
飛行機じゃん、なんだこの新聞はと
彼は何がなんだか分からず、その後自分がどう動いたのかも
覚えていず、気が付いたらホテルのベッドで枕を抱えて
震えていたんだとか。
テレビでは、臨時ニュースをお届けします、飛行機が墜落
しました、生存者は居ない模様と・・・・、
これは勿論フィクションです、未来新聞なんて有りませんね。
御巣鷹山に日航ジャンボ機が墜落してもう36年です、このニュース
を聞いたのは、友人と一緒の車のラジオでした。
そして先日、このジャンボ機に搭乗した人、搭乗出来なかった
人のことをニュースして居ました。
やっとの想いでキップを手に出来た人、笑顔の出発でした、
あと一枚という搭乗券が目の前で売り切れてしまった人も居たと
どうしても行かねば成らないのに、が、諦めた人
急な用事で、ドタキャンキャンセルせざるを得なかった人、
そんな悲喜こもごもの運命を抱えながら、日航ジャンボは飛び立ったのです
この搭乗秘話を語ったのは、日航の受付け担当の方でした。
ずっと話すことは出来なかったこと、でも、こうやって
運命の糸は繋がったり切れたりすると、
今思い出しても、怖いことと、小さな声でぼそぼそと語った
のです。
人の運命は、あざなわれる組紐のよう、これが何処から来ている
糸なのか、途中で切れてしまっているのか、それさえも
分からない
乗ろうとしても乗れなかった人、乗りたかったのに諦めた人、
そして、やっと乗れた人、普通に予定通り乗った人達
でも、こうやって出来上がるのよと、母は私に魅せたのです、
その未完成ながら美しい組紐を
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