水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

人は変わるのか いや誰も知らない本来に帰るのか

昔昔の話です。


私の高校時代、かなり暗かったのですが、そのことでは無いです。


真面目金吉君の話です、彼は一部の隙もないほど学生服を
きっちりと着て、駅から学校まで多分一歩も歩数が違わない
だろうくらい、同じ歩幅で歩くのです。


勿論学帽は買った時のまま、カバンもピカピカで、潰したりは
して居ません、他のやつらの帽子はもう原型を止めず、フライパン
で炒めたりしてぺっちゃんこで、それはある意味ピカピカでした。


ポケットに手を入れ、潰したカバンを脇に抱えて肩を揺らしながら
ネメるように歩く、これ私のアホ学校では普通でした。


ある日、その真面目金吉君が振られたのです、勿論彼から声など
掛けられず、毎日そのレストランを眺めて彼女がレジ打ち
に来たとき、生き生きと見つめていたのです。


私に相談が有りました、何とかならないだろうかと、一言
声を掛けたいんですと


う~ん、じゃあ俺がセッティングするからそこに来てくれるか?
と、帰りがけの彼女に声を掛けて、ある場所を指定したのです。


(当時は声を掛けるなんて、当たり前でした)


そうして彼はそこに赴いたのです、その後のことは知りません。


そして、彼は多分初めてでしょう、翌日から学校を休んだのです、
え?、来て居ない?、驚いたのは先生でした、何が有ったんだ、
あいつが、休むなんて、と


三日目の朝です、学校中の誰もが驚いたのです、そう彼が登校
して来たのです。


野菜党!!、この間はサンキュー!!って、彼は私の横を抜けて
行きました。


唖然・・・・とは、このことでしょう、これ以上真面目には着られない
だろう学生服姿だった彼が、


当時流行ったマンボズボン(ぴっちりしたパンツ)
そして、ズボンの脇にはジャラジャラと鎖をつけて、首には金の鎖、
耳には穴を空けて耳飾り


ここまででも十分停学対象でしたが、何と彼は音楽を聴きながら、
それに合わせ、ステップを踏みながら学校へと向かって行ったのです。


信じられますか?、記憶で書いているので、多少違うかも知れません
が、だいたいこのようでした。



彼女に振られたらしいと、まあ、付きあってもいないのに振られた
なんて無い訳ですが、そのショックが変えた、彼を変えたんだと


学校は直ぐに両親を呼んで、彼を停学にしました、ちょっと~と
そうなってしまったのだと考えたのでしょう。


そして彼は、二度と登校することは有りませんでした。


あのステップを踏みながら、クルクルっと時折回って通う姿は
今もくっきりと脳裏に刻まれて居ますよ。


人は一晩で変わることもある、そう思いましたが、同時に思ったのです、
それは、誰も知らない「本来」に戻ったのではないのかと


それは本人も知らないかも知れない「本来」へ


失礼しました!!