洗面器の水
昔昔のことです。
君は洗面器に水を溜めて顔を洗う時、どうする?
どうする?って
水を溜めた時、それもあまり溜まっていない時、洗いづらいよね
と
まだ若年の私に聞いて来たのです。何だろう、この質問はと、
私が時々、顔も洗わないことを知っていたのかって(笑)
溜まっている水を、手前から向こうに動かしてごらん
そう言われてやって見る馬鹿な私、
そう、これは誰も知って居ることですね。
その水は向こうに押しやると、洗面器の丸い面に当たりながら
勢いよくこちらに戻って来たのです。
つまり顔を洗いやすくなるってこと、
このこと、実は今頃思い出しています、大事な水を向こうに追いやる
それは必ずこちらに戻って来ると
しかし、この世の形は、いつも、全部、洗面器のようでは
ない、行ったきりなんてザラだろう。
いつも投げたボールが戻って来るなんてことはない、
そう思った方が良い
だいたい、必ず戻って来るからと大事なものを差し出すなんて
馬鹿のバケツだと思う
では、戻って来ないなら差し出さないのか、差し出しっぱなし
では駄目なのか、そんなことは無いだろう
良いではないか、結果を求める人生なんて詰まらないもの
戻ってくる水を当てにして、洗面器の水を向こうに
押しやる
洗面器だから戻ってくる、それだけはわかる
しかしこの世は洗面器のようではない、でもなあ
何が起きても先ずは自分から、自分だけが助かるとか
そういう、いわゆる勝ち組人生からは
遠のいたことは確かかも知れません。
しかし、この世の形は多分洗面器のようだと、この地球が丸い
ように、そうに違いないと
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