決してニュースには成らないこと
私共のお客様、バレエ衣装を扱う工房なのですが、
コロナでばったりと仕事が無くなりました。
私共への担当者さんは決まって居ました、何かと
ご配慮をくれる素敵な女性です。
バレエ公演があると、電話がかかってきます、
いつどこどこの劇場の、楽屋口まで来て下さいと。
夕方の時もあれば、夜の公演ですと10時11時
なんてこともあります。
指定時間に伺うともう、衣装は整理されていて
指示もついて居ます。
汗が沢山とか、既に脇から色が出ているとか、
この衣装は特別なので気を付けてとか、細かい
指示をいただくのです。
有難いのです、ただ預かっても、一点一点をどう
処理していったら良いかって、かなり悩むから
です。
彼女は、クリーニングの立場に立って、指示を
してくれる稀な女性担当なのです。なかなかおり
ません、そこまでやってくれる人は。
今朝、その彼女から電話が入りました。うわ!!
注文か~と思ったのですが、違ったのです。
私、この8月で退職します、との挨拶でした。
え!!っと私、退職なんですね、そうなんですか~
と、彼女のこれまでの仕事ぶりが頭に浮かびました。
なんでも、仕事が無くなってしまったと、公演が
ないので、衣装の修理とか、新しい衣装の縫製とか
いわゆる工房の仕事が激減してしまったのだと。
保証はしてもらっているのですが、このまま
で良いのかと考え続けたのです、と。
いつ始まるかも分からない公演、このところのコロナ
感染を見ていると、そう簡単に元には戻らないと
判断したのです。
新しい仕事を求めることにしました、本当にお世話に
成りました、これからも衣装のクリーニング、よろ
しくお願いしますと、
実に丁寧な言葉をいただきました。
お世話になったのはこちらです、お礼を言わなくては
いけないのも私共です、
でも、こういう配慮が出来る彼女だったから、
気持ちよく仕事をさせてもらったんだと、改めて、
結局は「その人」なんだと実感しました。
本当にありがとう!!、貴女ならどこへ行っても
きっと愛されるでしょう、とエールを贈りました。
コロナの蔓延で、裏ではこのようなことは茶判事
なのだと思います。
決してニュースには成らない世界が沢山あるんだと
実感させてもらった、一本の電話でした。
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