水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

どん底に大地あり

昨年秋に、友人の見舞いに長崎を訪れてから早一年
となる、まだコロナも無かったなと。


その時に訪れた長崎原爆資料館は衝撃でした。


たった一発の爆弾で、焦土と化した長崎市、そして
何万人という死者、この現実は何だろうと思った。


特に惹かれた写真、それが先日NHKでも放映された
焼き場に立つ少年だった。



「焼き場で、火葬の順番を待つ少年、背負っている赤ん坊は既に亡くなって
いるという、少年は赤ちゃんを火葬に来たのでしょう、聞く所によると
赤ちゃんを背負って魚の分別をしていた少年、ふと屈んだ時に原爆が至近に
落ちたとか、その爆風で赤ちゃんは亡くなったでも、赤ちゃんのお蔭で
少年は助かったのだと」


NHKは少年の今を探し続けた、もう亡くなっているのか、生きて居れば
80歳くらいでしょうか、でも、見つけることは出来なかったのです。



エールというNHKの朝ドラ、主人公が、長崎を訪れる様子が
描かれている、そこで自ら原爆に被災しながらも沢山の患者を治療
し続ける永田医師(実名は永井医師 実在)を訪ねる。


永田医師が書いた「長崎の鐘」物語を読み、その詩に感動し
て、どうしても逢いたい!!と訪れたのでした。


原爆が投下され、永田医師はちょっと離れた所にいたので助かった
のですが、家にいた奥様は、骨しかない姿で亡くなっていたと
それがこの「長崎の鐘」、想いのあふれた作品だったと。



永田医師は、ある少年に聞かれたことを話しはじめる。


原爆の跡を見ながら少年は永田に、神はいらっしゃっるのですかと


永田医師は答えるのです、


堕ちろ堕ちろ 堕ちろと どん底に大地がある、と。


主人公はこの意味を受け取れずにもがき、でも、名曲「長崎の鐘」を
書き上げるのでした。



永田医師はこの後、白血病で亡くなります、妻のもとへ旅立つのです。


おそらく彼は、堕ちて堕ちて堕ちた場所で、この物語を編んだ
のかと思います。


堕ちた「どん底の大地」は、軟らかいぞと言いたいのかも
知れません。



堕ちろ堕ちろ、とことん堕ちろ、何故お前が生れて来たのか
そのどん底が教えてくれるだろうと。


神様はきっと、この「どん底」にいらっしゃるのかも知れません。