これは、昔昔、友人が問うた言葉です。

鰯の頭と三千万円、野菜党さんならどちらを選びますか、って

馬鹿な質問だと思った、そして何を言いたいのか分からなかった
ことも確かだった

三千万円、これは子供が大きくなるまで、ここでは大学を卒業
するまでに掛かる大よその額です。

そのことを彼は強調はしませんでした、猫だったら間違いなく
選ぶであろう鰯の頭に、いったい何が有るのか、
実は分からなかったのです。

先日、某放送を聞いていたら何故か「覚悟」という
言葉が何度も聞こえて来ました。

何の覚悟だろうと思ったらそれは、藤井壮太という１８歳に
ならんとするプロの棋士が、高校を中退したという
ニュースを受けてのことでした。

彼は確か名古屋大学付属高校の三年生で、２年位前に将棋の
タイトルを取り、それまでに２９連勝という新記録も
打ち立てた天才です。

言い方を変えると、彼は三千万円を捨てて、鰯の頭を取った
と、何故か、冒頭の話を思い出したのでした。

中退を選んだのがこの2月と聞きます、何故？って思いますね、

だって、３月には卒業です、何ももう一か月通えば卒業出来るのに
と思いますね。

でも彼は敢えてそうしなかった、ほんの一分でも一時間でも、将棋の
中で生きて行きたいと思ったと、

自分だけの固有の価値を見出すことの難しさ、多くの人達が、
整備された道を進むことを選びます。

何故か、それが安心だから、自分には自分だけの固有の価値なんて
見つけられないからと、様々と思います。

でも今、歳を重ねて思うことがあります。

あの時に選んだ道は、どうだったのかと、それは三千万円では
なく鰯の頭だったかと

もっと言えば、自分で選んだ道が一つでも有ったのかと
問う私が居ます。

今更仕方がないのですが、自分の人生で小さくても良い、覚悟
を持った選択が有ったのかと、己に問い続ける私です。