宅配の思い出(夜逃げ)
これは私がクリーニングの宅配(外交)をしていた頃の思い出の一つです。こうやって社会のなにがしかを学んで来た、そんなことを今感じて居ます。
☆見事な引っ越し(夜逃げ)
これは見事でした、そのシュチュエーションとも言える前日祭も、今から思えば演出だったのだと思います。
ある日お客様から電話が入り、カンカンでした。ブランド品のブラウスのシミが落ちていない!!、何をやって居るんだお宅は!!、弁償して頂戴!!と、何かあると弁償弁償が口癖のお客様でした。
すぐに飛んで行き、そのブラウスを預かりに行きました。そんなにシミは無いけどなと思いながら、あの~、ご集金はいかがでしょう?とおそるおそる尋ねました。
何言ってんのよ!!、それが無事に出来てからよと、このお客様の請求額は確か15万円程有ったのです。一か月分では有りません、数か月溜まっていたのです。
そして翌日、私は前日の内にブラウスのシミを直し、直ぐにお届けをして、集金をせねばと焦っても居ました。
すぐに怒鳴りつけるお客様、でも外見は上品な奥様です、その度に、頭の中で私は「人生変えた方が良いよ」と呪文を唱えて居ました。
そこは閑静な住宅街、玉川田園調布の一角です、私が近づくと何やらその家に人だかりが出来て居ました。
米屋さん、酒屋さん、そして商売は分かりませんが集金に来た業者さん達でした。そしてドアの前には、ポケットに手を突っ込みながら、ドアを足で蹴って居るその類のお兄さんもおりました。
近づくと何やら話をして居ます、それは・・・・、
お宅はいくら有るの、内は~円くらいと、集金額のことでした。私が近づくと、ああ、クリーニング屋さん、居ないんだよこの家!!と、昨日私を怒鳴りつけた奥様の家を指して居ました。
居ない!!、何で!!、と、私はそのお兄さんを無視して、その家のドアを叩きました。もぬけの殻というのでしょうか、家全体がひっそりとして居ます。どう見ても、中でそっと潜んでいる雰囲気では有りませんでした。
居ねえよ!!畜生、逃げやがったと、お兄さん
ということは、私が昨日去った後、その夜なかでしょうが、夜逃げ屋本舗さんでも雇ったのか、引っ越してしまったのですね。
誰かが警察も呼んだのだと思います、お巡りさんも来ていて、家の様子を見てくれて居ました。業者たちはそれぞれ警察に行き、被害届を出しました。
その後も消息不明でした、結局染み抜きのブラウスと、溜まった集金は焦げ付いてしまいました。
教訓 危なそうなお客様は、現金での取引とすること
でも、危なそうな雰囲気は有りませんでしたね、しかし数か月溜めたのですから、 危険範囲でした。アホな私です、とほほほほ・・、
思い出せば丁度この頃、バブルが崩壊した頃でした。田園調布辺りででも、一晩で居なくなったお宅がかなり有ったとか、噂は広がって居ました。
でも、まさか、自分のお客様がと、事実は小説より奇なりとはこのことでしょう。
あの奥様どうしたでしょうか、あの時私を呼び怒鳴ったのも、翌日に引っ越してしまうことを隠す、精一杯の演技だったのかも知れません。
そうだとすれば世の中、一通りでは行きませんね。
失礼しました。
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