あるパートさんの悲哀
ある日の朝、パートさんから電話が入りました。
ポスレジが立ち上がらないのと、その前にスイッチを押しても何の反応もないのと、困惑して居ました。
本社の担当が、そのパートさんに聞きました。
電源は繋がって居ますか?と。
え!!電源って、しばらくして、あら嫌だ、コードの先が外れて居るわ、ごめんないさい今差し込んだら、立ちがったわ、と。
それを聞きながら私は、そんなもんだなあと思ったのです。そのパートさん、私と同年代で、新しい知識には極めてうとく、その点も非常に近いものが有ります。
新しい知識を、岩盤のような壁が跳ね返しているのです。それが入って来たら、自分はどうにかなってしまうとでも感じている、その混乱を嫌だと拒否するのでしょう。
この担当、年寄りたちが何を理解して居ないかをよく知っていて、電話での問いに対して開口一番、電源が繋がっているかと最も初期的な質問をしたのです。
その後しばらくして、そのパートさんはお辞めに成りました。少々の人間関係のことが原因だったのです。
ポスレジが無いと今は、ほんとんど店の仕事が出来ません。しかし一方ポスレジは、そのボタンを押す順番を違えただけで、フリーズも起こします。伝票も出て来ないのです。その度に彼女は混乱し、電話を掛けて来ました。
そんな電話が、だんだんと人間関係をおかしくして来たのです。
パートさんが毎朝のように電話をしてくる、そしてその度に言われてしまう、それは・・・・、
どういう順番でボタンを押しましたか?、立ち上げの順番を間違えて居ませんか?、伝票は二枚出ますが、それをちゃんと確認して居ますか?と
そんなことをずっと言われ続けて、パートさんは、限界となったのです。
いつもそうなの、いつもポスレジは間違っていないの、間違っているのはいつも私なのと彼女は怒りを爆発させました。何でシャーシャーと、第一に私のやり方に間違いがあると言い切るのかしら、と。
あの人、私が憎いのかしらと。
仕方ないなあと思いました。言う方の気持ちも、言われる方の気持ちもよく分かりましたので。
私達の年代、団塊の世代の人達が、それまで培って来た知識経験は確かに凄いものも有りますが、こと、新しいことを吸収するこには極めて疎い場合が有ります。
ITは正しい、間違っているのは貴方!!と言われ続けた犠牲者、一方で思います、硬くなった脳みそに、新しいことを学ばせるエネルギーのことを・・・、
同世代のパートさんの悲哀を感じたのは、私だけだったかも知れません。お別れの時、でも彼女は明るく、手にはスマホを握って居ましたが(笑)
失礼しました。
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