水彩画 徒然なるままに

自然の光と影を求めて、水彩画を描き始めました、そして懐かしい思い出もと思いました。しかし、ただの自己満足です、興味のある方はどうぞ

生きている世界が狭いほど

それはそれで幸せだと思う。


私の義母の母、紀州の田舎のその田舎で、一人暮らしを
していた。


出かけることは殆どない、食べ物は自給自足に近かった


その住まいは、山々に囲まれたジブリのアニメのような
景色で、すぐ側の山には、甘夏ミカンの畑が広がって
いた。


☆写真はお借りしました。



私が訪れた時、その祖母は大歓迎してくれて、早速目の前の
山に連れて行かれた、そこは祖母しか知らないマツタケの
群生地だった。


初めてのマツタケ狩り、面白い程に採れたのです。


祖母と別れる時、そこはもう夕闇が迫っていて、
その良寛和尚の住まいのような小さな藁ぶき屋根
が逆光に照らされ、祖母もその光の中にたたずん
でいました。


私はちょっと寂しくなった、でも、祖母の身になればそれは
何でもないこと、ただの私だけの郷愁だったのですが。


義母が言いました。


あの人は、ずっと一人、昔昔、近くの村から嫁いできて、早くに
旦那と死別して、あそこに暮らしているの


一緒に住もうと言っても頑として動かなかったわ、と


楽しみと言えば、年に一回ある盆踊りかな・・・、


私はそのお寺の境内で行われた盆踊りを見物した、
祖母が見事な踊りを舞っていた、そうかこれが祖母の
楽しみなんだ、と。


それからしばらくして祖母は動けなくなり、老人施設に
入った、その時94歳だったか、訪ねて行ってももう
誰が誰だか区別はつかなかったのです。


義母は言いました、あの住まいから外には出なかったわと
外の世界を少しも知らない母だった、だから幸せだった
のではと



今私達は、多様な世界の中で暮らしています、そのモザイク
のような世界で、どうやって自分の進む道を決めるのか
大変難しい、ですね。


あのマツタケの宝庫はどうしただろう、祖母は誰にも
教えずに亡くなったと思う、もう私も訪ねることは
無いのだが、そこは私だけが知っている、トトロの
森、そんな風に思っている(笑)